【第11回 佐見歌舞伎大公演】地元の情熱が動かす、どこまでも熱い(のに)佐見歌舞伎!
※写真は公式Facebook、ぎふの旅ガイドから引用
イベント情報
【期 間】2017/11/25~2017/11/26
【期待度】
5.0
【場所】白川町立 佐見中学校 体育館
そこのあなた、たまーにかぶいていらっしゃいませんか?
江戸時代から継続されている伝統芸能の歌舞伎。現在は古典的なものから、ワンピース歌舞伎まで幅広いスタイルが楽しめます。
「かぶく」と言うと、「奇妙な身なりや、勝手な振る舞い、常識外れ」のことだと連想されるかもしれません。
不正解!ではありませんが、当時の江戸時代だと「最先端のイケてるお洒落さんたち」なんですよ!
多分、歌舞伎をやっていた人たちはアウトローであったと思いますが、時にはサイレントマジョリティー♪から抜け出すことも、よいことかもしれません!
無情だった伊勢湾台風から
佐見歌舞伎も江戸時代から、庶民の楽しみとして行われていました。
白川町の北部の佐見地区にも芝居小屋が4件あり、特に昭和10年代の上演は盛んなものでした。
しかし、それは昭和34年の伊勢湾台風によってすべて焼失してしまいます。歌舞伎が大好きだった人々の絶望感は大変なものだったでしょう。
そのときに一度、この佐見歌舞伎の伝統は途絶えることになります。
それでも、地域の人々は平成3年の春に歌舞伎を復活させることを決意しました。
平成10年まで5回の公演が行われました。その後に、様々な理由から佐見歌舞伎が行われない時期ができます。
しかし、平成18年、再び佐見歌舞伎公演実行委員会を結成できました。翌年の平成19年4月には9年ぶりに上演することができました。
それからも、不定期になりますが、今日までしっかりと続いています。
現在は寄り合って、佐見小学校の「総合的な学習の時間」で子どもたちが歌舞伎を、大人は「佐見歌舞伎伝承教室」にて、太夫、三味線、付け打ちを学ばれています。
地元の力で作り上げる!
佐見歌舞伎は、平成3年の37年ぶりの復活以降、市川福升師匠のご指導のもと、歌舞伎舞台を行ってきました。
師匠曰く、一からその準備をするのは、並大抵のことではないということです。莫大なお金が必要になります。
この大公演、その舞台となるのは佐見小学校の体育館です。なんと舞台や花道が、すべて地元の大工さんたちの協力によって出来上がってしまうのです!
ここ最近、この公演は2年に1度しか行われていません。
一体どれほどと考えても、計り知れないほどの情熱が、この舞台に向かっているに違いありません。
その素晴らしい熱量、そして緊迫感は、きっとその目で確認しないと伝わり切りません!
2016年に、イタリアで「寿式三番叟」を披露
白川町とイタリアのピストイアは姉妹都市です。
アメリカなどに比べると、イタリアでの歌舞伎の知名度はまだまだらしいですが、
2016年にピストイアの日本文化を紹介するイベントで、なんと佐見歌舞伎が上演されることになりました。
しかも、出演したのは地元佐見の中学生たちでした。
長い歴史の中でも、海外公演は初めてのことです。
代表的な演目「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」を披露しましたが、これは動きの速さが特徴です。
安江遼太郎(りょうたろう)くんと安江龍弥(たつや)くんの幼馴染コンビが、
ベテランの役者でも難しいと言われる、それぞれ振付が違う2人の動きを合わせることを、見事に演じきったようです。
初めて歌舞伎に触れる人の為に、歌舞伎独特の化粧を観客の前で見せるパフォーマンスも行ったみたいです。
今年の舞台の特徴
本公演で、佐見歌舞伎で初めての上演になる外題が二つあります。
『義経千本桜 鮓屋の場』
『一條大蔵譚 奥殿の場』
後者の大蔵譚で、三人が初めて歌舞伎役者になります。
全員20代の若者です。熱心に取り組まれた練習の成果が気になります。
お話の要約
今年の舞台で上演されるお話の要約、イタリアのピストイアでも披露された「寿式三番叟」を、抜粋いたします。
寿式三番叟 ことぶき しきさんばそう
寿式三番叟は、天下泰平、五穀豊穣を祈願するご祝儀曲です。
華やかな衣装を身にまとい、約20分間、二人が舞う「連れ舞い」です。
鈴や扇子を持って「種まき」をする仕草をします。
でも、途中で種蒔きが激しくなってきて、疲れてさぼってしまうのです。
それを相方が見つけて、たしなめる。
お互いを叱咤しながらも、種を蒔くという楽しい踊りです。
平成23年佐見歌舞伎公演では「東日本大震災復興祈念公演」として、寿三番叟の舞を復活させました。
今回は、中学生の女子が元気よく舞います。
知識は体験に勝てない
この佐見歌舞伎大公演について、背景を語りつくしたつもりです。
が、きっと演目を実際にご覧になったとき、この文章では絶対に味わうことのできない感動がそこにある、と思います!
言い切れませんが、知識は体験に勝てないと考えます。
実際にご覧になって、知識に勝てる素晴らしい体験を味わってください!